偽りの婚約者に溺愛されています
「自信がないのか?俺と勝負したがっていたじゃないか。君が勝ったら、なんでも言うことを聞くよ」

「下手だって言ってたじゃないですか。自信がないのは智也さんでしょ」


思わず言い返すと、彼は私の手を引っ張りコートへと入っていく。

ぎゃー、やめてよ。みんな見てるじゃないですか。
そう言いたいのに、声が出ない。

「コートに入ったら靴を脱いで。真剣勝負だ。やるからには勝つ。俺が勝ったら、君に言うことを聞いてもらうから」

彼が歩きながら私に言う。

もしも勝ったら、婚約者のふりを終わりにできるかもしれない。彼からお金を受け取り、すべてをリセットしたい願望が頭をよぎる。
本当は、修吾さんに向き合う前に、あなたに伝えたいことがある。
一からやり直せたなら、正直になれるかもしれない。


「わかりました。負けませんよ」

私が言うと彼は私を振り返り、ニヤッと笑った。

「それでこそ夢子だ。楽しんでやろう」

確か以前、彼はバスケは上手くないと言っていた。
本気になれば勝てるかもしれない。


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