1 week
武原の隣には同じくらいの年の綺麗な女の子がいて
何となく声を掛けちゃいけない気がした。

通り過ぎようとすると向こうから

「古本屋のお姉さんですよね?」

と声をかけてくれた。

「あ…こんにちは。」

子供と手を繋いでる私にお姉さんなんて言ってくれるなんて…と舞い上がってしまう。

「わ、可愛い。お子さんですか?」

「はい。羽海、ご挨拶して。」

羽海は恥ずかしそうにわたしの後ろに隠れながら

「こんにちは。」

と言った。

「ウミちゃんて言うの?可愛いね。」

武原が羽海の髪を撫でて
一瞬だけど羽海を羨ましいと思った。

隣の彼女も子供好きらしく
羽海を可愛いと言ってくれた。

こんな子連れおばさんじゃライバルでも無いだろうから
全く警戒してなかったのが少し寂しい気もしたけど…

当たり前だ。

その日は武原に逢えただけでも幸せな気分だった。

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