朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
国王の見た目と比例するようなこの美しい宮殿。優雅さと気品を兼ね備えている。少し前まで戦争をしていたというのに、ここは荒れたような気配もない。
こんなすごい国と戦争をしていただなんて知らなかった。こんな宮殿を作れる国と何回喧嘩したって、勝てないような気が……。なんて、今からそんな弱腰じゃだめだけど。
「さらに敷地外に離宮もある」
「へええっ」
シャイレンドルフの王族の力ってどんだけ……。お世辞を言う余裕もないほど驚きっぱなしの私に、女性たちの声がかけられた。
「王女様、ささっこちらへ」
「急いでお召し替えを」
振り返ると、さっき国境でドレスを脱がせた女性たちが。
「では、私は用事があるのでこれにて失礼。では結婚の儀で会いましょう」
「え、あの」
結婚の儀って、一週間くらい後の予定じゃなかったっけ。それまで会うことはないってこと?
「大人しくしていろよ。宮殿の中を無駄に歩き回ったりせず、部屋の中にいろ。不足するものがあれば、使用人に言い付けて構わない」
それだけ耳打ちすると、エドガー王はさっさと馬を引いて厩舎の方へと歩いていってしまう。なによ、紳士じゃないわね。宮殿の中まで案内してくれてもいいじゃない。
お城の使用人であるらしい彼女たちに背中を押され、私はボートレイト伯爵から引き離された。