朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「みなさん、ごきげんよう」


花の模様が彫られた華美な扉を開くと、むわっと何種類もの香水が混ざった匂いがした。むせかえりそうになりながら、にこやかに挨拶する。


「王妃さま!」

「おはようございます、王妃さま」


テーブルを囲んでいた貴婦人たちが、テーブルの上のトランプを慌てて片付ける。別にただのトランプなら片付けなくてもいいのに。賭け事でもしていたのかしら。

正直、私は女性の集まりが苦手。誰も本音で話している気がしないし、お世辞や誰かの悪口を聞くだけで疲れる。身になる話題もない。みんなが興味があるのは、誰かの醜聞だとか、出世の話ばかり。

ものすごく退屈な空間だからあまり来たくはないけど、エドガーがここに来て貴婦人たちの様子を見るのも私の仕事だと言うから来るだけ。たしかに、賭け事とかいじめとか、目に余ることがあったらそのままにしておいちゃいけないものね。

と思いながらも、笑顔でみんなと言葉を交わし、誰かが弾いてくれるピアノを聞く。しばらくそうしたあと席を立つと、みんな名残惜しそうな顔をする。


「王妃さま、もう舞踏会はいたしませんの?」

「王妃さま主催のオペラ鑑賞会なんて良いと思いません?」


貴婦人たちは基本的に自分の仕事がない。ので、暇で暇で仕方ないらしい。遊ぶことばかり考えてる。別にそれが悪いとは言わないけれど。


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