朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
両手をモミモミして変な笑い方をする夫人。何でそんなこと、私に言うの?
「それなら国王陛下に」
「言えるわけないじゃないですか。王妃さまから推薦してくださいませ。もちろんタダでとは言いませんわ……」
ええっ。親しくしてやったんだから自分の夫を重役に推薦してくれって? そんなバカな。
ああ……そうか。私に親切にしてくれたのは、私と仲良くなればこういうメリットがあるんじゃないかと思ったのね。
「ごめんなさい。そういう権限は私にはないので。じゃあ」
しつこくされたら大変。またまた逃げるように小走りでその場を去る。宮殿に入る前にサロンの方を振り返ると、さっきの夫人と別の貴婦人五人ほどが集まって話をしていた。
「だめね。まったく子供で話にならないわ」
「しょせんは卑しいアミルカの女ですもの」
まだ私がいると気づいていないのか、わざと聞かせようとしているのか。誰の声かはっきりとはわからないけど、自分が悪く言われていることはわかった。
卑しいアミルカの女……。言われていた言葉を噛みしめると、お腹の真ん中あたりが痛くなった。結局は敵国からきた人質扱いか。
自分では必死に愛想笑いをして周りに溶け込もうとか、勉強を頑張って馬鹿にされないようにしようとか、努力はしているつもり。けど、周りに本当の意味で認められるには膨大な時間がかかりそう。ううん、いつまで経っても異国の出身である限り、認められることなんてないのかも。