朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「抜けっ、センテム!」


あっという間に目の前にたどり着いたエドガー。センテムはとうとう私の腕を離す。床に倒れた私の目の前で、二人の剣が打ち合い、火花が舞う。


「王妃様、こちらへ!」


腫れあがった顔でルーシアが私の手を取り、立ち上がらせる。慌ててついていき、親衛隊の近くに駆け寄った。親衛隊たちは取り囲むようにして私とルーシアを守ろうとしてくれる。


「何が反逆罪だ。俺の暗殺を仕組んでいたのはアミルカの王妃。しかしそれも、一時のこと。戦争の傷は癒えつつあり、話は和解へ向かっている」


エドガーはセンテムと剣をこすり合わせたまま、オーケンをにらむ。


「彼らはミリィの様子をアミルカに報告するために送られた者たちだ。母親が娘の身を案じるのは当然だ。そうは思わないか?」


すらすらと口から出まかせを言うエドガーに感心する。でも、少し悲しい。それはエドガーが自分を傷つける者からわが身を守るために身に付けた術だと思うから。


「な、なんだそういうことか……」

「やっぱり王妃様が国王陛下を暗殺だなんて、おかしいと思ったんだ」


群衆から怒りが消えていく。さすがエドガー。オーケンがぐっと何かを喉に詰まらせたような顔をする。彼の企みもこれまでかと思われた。そのとき。


「じゃあ、これはどう説明いたします?」


傍聴人の中から、すっと一人の女性が前に出た。胸元のあいたグリーンのドレスを着た、美しい人。


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