朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「陛下、もう大丈夫です。すぐに意識は戻らなくとも、毒は体の中で中和されていっているはずです」


背後から伯爵の声が聞こえ、ゆっくりと体を離す。ミリィの紫色だった唇が元のバラ色に、頬も赤みがさしてきた。


「良かった……王妃様、王妃様ぁぁぁ~」


ルーシアが顔を覆って泣く。俺自身もホッとして、全身から力が抜けていくのを感じた。


「オーケン大臣」


伯爵の横に立ったのは、ラッセルだった。


「俺たちが間に合ったから良かったものの、この責任をどうとるつもりだ」

「何を……そもそも王妃が毒を持っていたのが悪いのではないか! アミルカから贈られた毒で国王陛下を暗殺するつもりだったのだろう!」

「黙れ、この大うつけが!」


ラッセルの聞いたこともない大音声で、部屋中が静まり返る。その声は亡き父に、そして自分に少し似ていた。


「アミルカ王妃の手紙は、王妃が病に伏したときに錯乱状態で書いたものだ。そんなもの、何の証拠にもならない。そしてミリィ王妃が持っていた毒。あれは王妃の命を狙う不届き者がいると知り、この伯爵が護身用に持たせたものだ。誰がこれほど愛する人を殺せると思う」


一応筋の通った説明だが、真実を知っている俺には違和感しかなかった。しかし、傍聴人は納得するようにうなずき、オーケンとオルティスタは青くなって震えはじめる。


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