朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


至極真剣な表情で言い放ってるけど……ボートレイト伯爵、それってちょっとひどくない? 私にはエドガーに好かれる要素がひとっつもないってこと?

たしかに私は兄弟の中で唯一の女だからこの結婚の相手として選ばれたのだと言える。絶世の美女というわけではないし、髪は赤でも銀でもない、はっきりしない桃色。頭は良くないし、気もきかない。自覚するほど、悲しくなってきた。


「……でも」


そんな私でも、エドガーは可愛いって、言ったんだもん。


「とにかく、私はいちどアミルカに戻ります。女王に報告し、ただちに脱出の準備を……」


伯爵が早口で今後の計画を話していると、突然ドアがノックされた。びくりとした私たちはうっかり跳ねて、床から少し浮いてしまった。


「は、はい?」

「王女さま、朝食でございます」


ルーシアの声だ。ほっとしてドアを開ける。しかしそこに、いつも食事を乗せている銀色の台車はなかった。


「まだこんな格好でいらっしゃったのですね。早く、お召し替えを」


ルーシアに腕をつかまれ、部屋の奥へと連れていかれる。ドレッサーからドレスを出した彼女は、手早く私の寝間着を脱がせ始めた。


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