エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 望みは目頭が熱くなって、涙声になった。

 まさか、谷川の反応がそんなものだとは思わなかったのだ。

「実は俺も、前々から火菜ちゃんたちに会ってみたかったんだぞ!」

 少し照れながら、谷川が言うと、

「分かった。派手にやりましょう!!」

 やっと望の意志が固まった。

「それからもう一つ、お通夜が終わって、深夜の事が心配なの!だからマスコミとかを動かせたら、奴らはヘタに動けなくなるんじゃないかしら? でも、マスコミに知り合いはいないし、あなた心あたりはない?」

「う〜ん ナイスアイデアと思うけど、マスコミに知り合いはいないしなー…うん?待てよ!お前が今日見たと言うローカルテレビなら使えるな!」

「ローカルと言ってもどうやって?時間もあまりないし…」

「だから、本物でなくてもいいんだ。取材だと言って2、3人カメラとかを持って行けばごまかせるんじゃないか?」

「やってくれる人がいるかしら?」

「まかせて!心当りがある。知名度の低い劇団の奴らならバイトで頼めるんじゃないかな!?」

「それってものすごく名案なんですけど!!」

 望は興奮して言った。

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