エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 思いついたらすぐにやるしかないと、黒沢は後を部下に託してガレージへと急いだ。

(源の始末ぐらいなら自分だけでも出来る。)

と先走った。

 車中では思った通り、源がぐったりしている。

 まず、黒沢は睡眠薬入りのスポーツ飲料を源に与えた。

 源は一口ずつゆっくりゆっくりと飲み干していった。

 すると、また横に倒され

「さあ!朝のドライブに行くぞ。」

と黒沢は車を出した。

 外では、門の開く音で谷川が目を覚ますと、望に

「オイ!車が出ていくぞ。誰だろうこんな早朝に…」

と言って起こすと、

 望が飛び起きるのと同時に車が出て行った。

「あの男だわ!!何しに行くんだろう。」

 望は、今度は自分が尾行したいと思ったが、見送るしかなかった。

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