未知の世界5
心電図が終わると、そのまま石川先生がエコーを持ってくる。
『寒くないか?』
「大丈夫です。」
『そしたら、そのままエコーするから。』
と言われ、寝たままで待つ。
胸にヒヤッと冷たいジェルがかかる。
これで心臓がキュッとなるのがいつも怖い。
発作ではないんだけど、発作に近い締まり方をする。
一瞬目を瞑ったことに気づいたのか、
『早くあったかいジェルになるといいんだけどな。』
「え?そんなジェルがあるんですか?」
『あぁ。うちも頼んでるんだけど、今使ってるものがなくなる前に注文してくれるらしいんだ。』
「ぇえっ!知りませんでした。
いつもこのヒヤッとする感じが嫌だったんですよね。発作みたいで。」
と答えると、一瞬間を置いてから、
『……そういうことは早く言えよ。
発作を誘発してたらダメだろ。
ったく。肝心なことはいつも自分の中で塞ぎ込むんだから。』
とボソボソ話す石川先生。
……なかなか言えなくてすいません。
と心の中で謝った。
そして、真剣な眼差しの石川先生は、ジェルを広げながらエコー画面を確認していく。
『……やっぱりまだ心拍が早いなぁ。小児の心臓だから、これこら大きくなることを期待するのみだけど。
息が上がることはあるか?』
「ありますけど、それに慣れてきてしまって、息が上がったり胸がドキドキしてきても、すぐに治ります。」
『どんな時にある?』
と、エコー画面を見たまま聞いてくる。
「呼び出しされて走ったりとか、子供を追っかけたりしてる時とか。あとは一睡もできない当直明けとか……です。」
『って……何は走ってんだよ。
走らなくていいから。
子供も誰か近くにいる看護師に頼めよ。』
そうだけど……。
「立場的に……。それに自分で追っかけた方が早くて。」
『医者なんだから、立場は上だろうが。
誰もお前に頼まれて断るヤツはいないと思うぞ。
それにそんなことしてたら体がもたないだろうが。当直もやらせんぞ。』
素直に言ったのに……、またしても怒られた。
言えば言ったので怒られて、言わなかったらまた怒られて。
もう嫌になっちゃう……。
エコーが終わると、胸のジェルを拭いてくれ、服を閉じた。
そして、そのまま持っていた私服に着替え、検査は終了した。