未知の世界5

資料室……資料室。








あまり来たことないからドキドキする。







パソコンでまずはどんな資料があるか検索しなきゃ。










『心臓移植 生存率』






カチッ









「う……かなりある。」








もうちょっと絞れないかなぁ。








『心臓移植 生存率 統計』








カチッ








あ、結構絞れた……けどかなりある。








一冊ずつ見ていくしかないけど、最近の本を読みたいな。







結果を知るのは怖い。けど、最近の医療なら、きっと長く生きてる人もいるはずだから……。







と、検索結果をメモして端から探し始めた。








他に誰もいないから、パソコンは立ち上げたままで……。


















と気づくと1時間近くが経とうとしていたけど、未だにいい資料が見つからない。







統計自体がしっかり出されてないのかな。








なんて、考えながら次の本を開こうとする。







『もう、それくらいにしとけ。』








という声と同時に、次の本に手を掛けていた手を掴まれる。







見上げると、そこには石川先生が立っていた。







怒ってる……?








「す、すいません。医局、忙しいですか!?」







『違う、そういうことじゃなくて。』








と言うと、私の隣の席に座る石川先生。







『こんなこと調べて何になるんだ?』







「…………。」








『今っ、お前がここに生きてることにはかわりないだろ?見つけた資料に何年か書かれていたところで、お前は今から何年か後に死ぬために生きるのか?』








そうじゃないけど……。







そうじゃないけど、この先のことが不安になる。だって、普通の人よりもきっと長くは生きられないんだから。







だいたいの年数でも分かれば、覚悟もできるかもしれない。








思っていることを口に出せない代わりに、次第に涙が出てきた……。








私の意見なんて、思いなんて…どうせ言っても、言葉巧みに上手いこと言われて終わらされてしまう。






それに、この気持ちは私にしか分からないこと……。







涙が目の前を邪魔して、よく見えない。石川先生には止めるように言われたけど…、手元の本を開いてみる。







どこかに載ってないの…?







『もう止めろ!』







ビクッ








石川先生のこんな声、初めて聞いた。







そのせいか、胸がキュッと締め付けられるけど、すぐに治る。








気まづい雰囲気に居たたまれなくなり、
資料室を飛び出した。







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