上から先輩
Ep.01



「いってきまーす」




教科書の詰まった重いスクールバッグを片手に、今日も今日とて学校に通う。


テスト期間も近いし、そろそろ本格的に勉強しなきゃなーなんて考えながら家の鍵を閉めたところで、頭上からガチャガチャバタンッ!と騒がしい音が聞こえてきた。


ああ、いつものきた。と顔が条件反射で二階を向く。


丁寧にも扉の鍵を閉める後ろ姿を見てやっぱり……と今度はため息が漏れた。


見つからないうちにはやく行こ。


視線を前に戻してクルリと方向転換したところで背中から「お、おい!」と、私を引き止める声が聴こえてきた。


聞かなかったふりをしてスルーすることも考えたが、それはやっぱり可哀想すぎるので仕方なく振り返る。




「おはようございます、先輩」


「お、おうっ」


「何か用ですか?」


「いや、今日も一人で登校してるみたいだから付き合ってやろうかなって」




私も暮らしているここ、深月荘の二階に住まう先輩は一回に住む私へ常に上からものを言う。


物理的にも上からなのは偶然だ……たぶん。



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