強制両想い彼氏
その日の昼休み。
私は皐月くんの教室を訪ねていた。
通りかかった男の子に皐月くんを呼んでもらうと、窓際の席で男友達と輪になって楽しそうに笑っていた皐月くんが、私に気付いて教室の入り口まで近付いてきた。
「どうした?お前から俺の教室にくるなんて珍しいじゃん」
そう言った皐月くんは、少し驚きながらも嬉しそうな表情を浮かべている。
「何かあった?忘れ物でもした?貸せるもんなら貸すけど」
「違うよ!忘れ物なんてしたことないもん!」
「こないだ俺んちに携帯忘れていったよな」
「ハッ!それは……!」
皐月くんはけらけら楽しそうに笑うと、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
そんな私たちの様子を、皐月くんのクラスの女の子たちがじろじろと煙たそうに眺めている。
さっきから突き刺さるような視線を感じて、やっぱり皐月くんはモテるんだなあと改めて実感した。
「で、本題は?」
皐月くんに促されて、私は訪れた目的を思い出した。