強制両想い彼氏
私のその言葉を聞いた皐月くんは、目を見開いて肩を小刻みに震わせた。
「私、もう皐月くんと一緒にいれない」
「……」
「私……皐月くんのことは大好きだけど、今の皐月くんは私の知ってる皐月くんじゃないみたいで……だから……もう……」
上手く言えなくて口ごもっていると、それまで黙っていた皐月くんが喉を鳴らして声も無く笑い始めた。
皐月くんの胸に顔を押し付けられているせいで彼の表情は見えないけど、あまりに不気味で恐怖に体が強張る。
「……いいよ、別れても」
突然頭の上に落とされたその意外な一言に、
少しの期待を込めて顔を上げたけど、彼の顔を見てすぐに絶望した。
私を見下ろす皐月くんの目が、刃物のように冷たく光っていた。
「別れてもいいけど……殺しちまうかもな」
その瞳と、その声と、その表情で、すぐに分かった。
皐月くんは、冗談で言ってるんじゃない。
本気で言ってる。
ガタガタ震えている私を見ると、皐月くんは困ったように微笑んだ。
「バカだな……殺すって、お前のことじゃないよ。可愛いお前を殺せるわけないだろ?」
皐月くんは妖しく口角を吊り上げたまま、私の耳元に唇を寄せた。
「俺がきっと殺すのは、別れた後、お前に近付こうとする人間全員、だよ」