強制両想い彼氏

ガラ、と教室の扉を静かに開けた。

夕陽のせいで真っ赤に染まった教室に、1人のよく見慣れた人影があった。


「あ……」


声の主は、私を見て驚いたように目を見開いている。
多分、私も今同じ顔をしている。


「永瀬くん……」


声をかけそうになって、慌てて口を閉じた。

だめだ、早く教室を出よう。

話したら、だめ。


永瀬くんと目を合わせないようにしながら、自分の机から鞄を取って急いで抱えていた教科書たちを詰め込んだ。


その鞄を持って教室を出ようとしたところで、思わず足を止める。


永瀬くんの足元に、プリントが数枚散らばっていた。


多分落としちゃったんだと思う。
でも松葉杖をついている永瀬くんには、その数枚のプリントを拾うことも難しそうだった。
足に巻かれた分厚い包帯が痛々しい。


「……」


私はしゃがみ込んで、永瀬くんの足元のプリントを1枚1枚拾い上げた。


「あ、おい、いいって!自分で拾える!」


永瀬くんの言葉を無視して、私はプリントを全部拾い集めた。
私が拾っている間、永瀬くんは黙ってしゃがみ込む私を見下ろしていた。


プリントを手渡すと、永瀬くんは少し困ったように眉をハの字にして、小さく笑った。




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