気付いた時には2人の君が・・・
秘密
保健室でのことだ。廊下で倒れた彼女がようやく目を覚ました。
「やっと目が覚めた」
彼女は気が動転してるのか、それとも起きたばかりで視界がぼやけてるのかしばらく黙っていた。それでも何故か、前髪をとめていた髪留めを髪が逆に流れるようにしてつけかえることだけはしていた。
「ここはどこ?」
「保健室だよ。いきなり君が倒れたんだ。」
「そっか、倒れちゃったか」
彼女は見透かしたような口ぶりでそういった。自分が倒れることを知っていたかのように。
「こんな大げさなことはなかったんだけどね、なんかごめんね」
違和感のある言葉だったけど細かいことは気にせず話を続ける。
「気にしてないよ、君は大丈夫なの?」
「うん、たまに似たようなことが起こるんだ。このことで教えておきたいことがあるんだけど聞いてくれる?」
「なに?」
「私、二重人格みたいなんだ。聞かされたのはだいぶ前なんだけどね。それで、今ここにいる私が新しく生まれた人格みたいだから、今の私は本当の私じゃない。」
何を言っているんだろうか。現実に二重人格なんてあるとは思えない。
「君がまだ半信半疑なのはわかるよ。私も初めて聞かされて時は驚いたから。でもね、それは後でわかることだから。最後に一つだけ。私と、あの子と仲良くしてあげて。」
まだ、わからないことばっかりだった。

だけどそれは、一つの約束とともに疑いようのない確信へと変わるのだった。
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