気付いた時には2人の君が・・・
出会い
「私と、あの子と仲良くしてあげて」
彼女は最後に一言告げると目を閉じた。しばらく彼女を見ているとゆっくり目を開け再び覚ました。彼女はまたしても髪留めを、つけかえた。
「ここは?」
「えっ、あっ、保健室」
びっくりして言いよどんでしまった。本当に本当にそうなのだろうか。
「あ、あの、迷惑かけて、すみません」
本当に違うのだろうか。
「いいよ、気にしないで」
「あの、あなたの名前は」
「春野 夢。君は本当に、二重人格な、の?」
「え・・・」
「さっきまで、君は起きてたんだ。それで、さっきの君は本当の人格じゃないって言ってたんだ。」
「そうなん、ですね」
「う、ん。」
「・・・・彼女の言う通りです。だから、私はその、、、」
キーンコーンカンコーン
彼女の意思を汲み取ったみたいにタイミングよくなったチャイム。
時計を見上げれば針は4時30分を指している。
部活がない生徒はもう下校する時刻だった。
「とりあえず帰らないとね。起き上がれる?」
「はい」
そう言って掛かっていたタオルケットから足を出し、かかとの潰れていない上履きを履いた。僕はその間、彼女の準備が出来るまで待っていた。
「じゃあ、行こうか」
用意が出来たところで彼女に一声かける。
「あっ、はい」
気まずそうにしながらも僕の後をついてきてくれた。
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