気付いた時には2人の君が・・・
放課後
放課後。僕は早く教室を出て校門に向かう。彼女を待つために。待っている間、何をすることもなくぼぉーとしていた。彼女のことをかんがえながら。ようやく彼女は来て僕に気がつく。
「待ってくれてたんですね」
「うん、一緒に帰ろうと思って」
足並みを揃え歩き出す。彼女の歩く速度は僕より少し遅い。その速度に合わせて僕は一緒に歩いていた。
「これから時間ある?」
どっかいけたらいいなと思い、断られることを覚悟して聞いてみる。
「はい」
断れると思っていたからちょっぴり嬉しかった。
「じゃあ、これからどこかいかない?」
「はい。どこか、行くところあるんですか?」
「んー、分からない。散歩程度だから」
「わかりました」
それから、僕たちは自分たちの街を少し歩きまわった。雑貨屋、クリーニング屋、喫茶店、ドーナツ屋。いつも通る時は何も考えずに通るこの道が、なんだか新鮮に見えた。いろんな店を見渡しながら通りを抜け、静かな路地へと入る。時刻は午後6時30分。あたりは鮮やかだった色に黒い絵の具を混ぜていったようにだんだんと暗くなり始め、風が肌寒くなってきた。
「そこの公園でちょっと話さない?」
小さく誰もいない公園を見つけ2人でベンチに座る。
そこで僕は彼女にあることを告げる。
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