気付いた時には2人の君が・・・
登校
次の日の朝。僕は少し早起きした。っていっても20分早く起きただけなんだけど。朝ごはんを食べ、歯磨きをし終わる。家を出て学校に向かう…前に彼女の家による。このために少し早起きしたんだから。学校までの道を少し外れ彼女の家の前に着く。しばらくして彼女は家から出てきた。
「おはよう、桜野さん」
「…」
返事がない
「また驚かせちゃったのかな春野くん」
また人格が変わったみたいだ
「すみません」
「でも気にかけてくれてありがとう」
「そういえば君の名前は?」
「私?そんなこと考えもしなかったよ」
「ってことはないの?」
「そうなるかね〜」
「それじゃあ、不便じゃない?」
「名前で呼ばれるほどでしゃばってもしょうがないでしょ?主人格じゃないんだし・・・さ」
主人格じゃないから、名前はいらないなんてそんな寂しいことあっていいはずがない。そんなのあまりにも寂しすぎる。
「憐、可。憐可。」
「えっ?」
「憐可にしよう。」
「私の名前?」
「そう、君の名前。今の君の名前。」
「えへへ」
彼女はよほど嬉しかったのか照れながら笑ってくれた。
「話し込みすぎちゃったかな。じゃああの子と変わるね」
しばらく待つ。すると意識が戻る。
「……あっ、またやっちゃった。すみません」
「大丈夫だよ、改めておはよ」
「えっ?あ、おはようございます」
いろいろ整理がつかなかったのか、きょとんとしている。まあ待ち合わせの約束してなかったしそうなるか。
「とりあえず行こっか」
そういうと学校まで歩き始める。
「家が近かったから迎えに来てみたんだ」
「私をですか」
「うん、いやだった?」
「いえ、でも驚きました。ま、また変わっていたみたいですし」
「いいんだ、少しずつで。それに僕も悪かったし。」
「ありがとう、ございます」
彼女はいつも申し訳なさそうで、か弱い声で、生き辛そうで。でも少しずつ少しずつでいいから頑張って欲しい。
会話が途切れたところで学校に到着。昇降口まで歩き上履きに履き替える。ここで別々のクラスだから一旦別れる。
「じゃあ、会えたら放課後」
「はい、また」
その短い言葉を最後にそれぞれの教室へと向かう。そして、席に着き面白くも楽しくもない授業を放課後まで聞き流した。
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