気付いた時には2人の君が・・・
告白
「答えたくなかったらいいんだけど、いつからニ重人格になったの?」
日が落ち始め、気づけば涼しい風が吹く夕暮れ。僕たちは小さな公園に立ち寄ってベンチに座っていた。
「たまに意識がないうちに時間が進んでることがあって、それが何度か起きて、病院に行ったんです。そしたら二重人格だって言われて。だから、自分では意識がない時のこと覚えてないしいつからかはわかんないんです。」
「そっか変なこと聞いちゃったね、ごめん」
「大丈夫です。その、他に聞きたいことありますか」
「じゃあもう一つだけ。二重人格を直したいって思う?」
これが僕が聞きたかったことだ。
彼女は目をいろんなところに移し、閉じていた口を静かに開いた。
「それは、よくわからないです。でも、自分で何でも出来るようになりたいし、その、頑張ってはみたいと少しは思うんです。だけど…やっぱりだめで。」
「そっか」
彼女の言葉を聞いてより一層強く、助けてあげたいと思った。頑張ろうとしてるなら、なんとかしてあげたいと思った。だから
「僕と付き合ってください」
そんな言葉が唐突に出てしまった。
「…え」
当然彼女は驚いた。そして
「またまた会ったね」
「憐可か」
「困っちゃうな」
なぜか彼女の頬は赤く熱を持っているように見えた。
「ごめん」
「あの子…可憐のことどう思ってるの?」
「きっと好きなんだと思う」
「そっか、やっぱりあの時いたのがあなたでよかった。うまくやってよね」
彼女の言葉は浮かんでは消えていくように儚げだった。
その言葉を最後に彼女は目をつぶった。
「……あっ、その、お願いします」
お願いしますってなんのことだっけ、不覚にもそんなことを思ってしまった。自分から告白していたのに。
「これからもよろしくね」
「はい」
彼女の返事はいつもより明るく、笑った姿がとても可愛らしかった。
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