気付いた時には2人の君が・・・
どきどき
夜が明け朝日が昇る。僕はとっくに早起きしていた。いや起きたくて起きたわけじゃない。なんか妙に緊張してるというか、どきどきしているというか。とにかく今日は様子がおかしい。平常心、平常心。
こういう時には、いつも通りのことをするに限る。着替えを済ませ、ご飯を食べる。歯磨きをして、テレビでニュースを確認する。
なかなか進まない時計を睨みながら、少し早い時間に家を出た。
彼女の家に着いた。深呼吸をする………やっぱり緊張はとけない。待っていればいるほどじっとしていられない。すると、ガチャリ、ゆっくりドアが開く。
「お、おはよう、桜野さん」
「お、おはよう、春野くん……」
あっ、きっと変わる。この感じは入れ替わるときのだ。
「もう、これなんだから」
僕は顔を赤くした。同じ桜野さんではあるんだけど、他人に見られた気がして。恥ずかしくなった。
「お、はよう」
「うん、まったく大したもんだよ」
「ごめん」
「あの子は君に心を開き始めてる。だから裏切らないで、ずっとそばにいてあげて。お願いだから。」
憐可からまたお願いをされる。毎回そうだ。彼女はあの子思う、それはわかる。でもなんでこんなにも…。
「あの、春野くん?」
桜野さんの声が聞こえる。僕は可憐を心配させるほど動揺していたのか、彼女が入れ替わったのを気づくことができなかった。
「あ、ごめん。じゃあ行こっか」
僕はいつの間にかどきどきが治まる。今日の昼休み一緒にご飯を食べるか聞いてみよう。そんなことを考え歩き始めた。
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