偽りの先生、幾千の涙
「あの…貴久君。」
「もう貴久じゃなくていいから。
貴久じゃねえし。
っつかマジかよ。
花音ちゃんが最後の切り札だったのに。」
「ごめん。」
「だから、謝らなくていいって。」
顔を上げた貴久君…うん、貴久君でいいや。
貴久君は困ったように考えこんでいた。
あたしも考えた。
果穂ちゃんを助ける方法ないかな。
「…なあ、花音ちゃんのお父さんって、家に仕事とか持ち帰ったりする?」
「え?
仕事してるか分からない。
でも休みの日は書斎から出てこない時多いよ。
あれ、仕事なのかな?」
仕事かどうかは本当に分からない。
ただ、仕事の可能性はある。
「マジか!
花音ちゃん、パソコン得意?
っつかまず書斎にパソコンある?
出来ればノートパソコン。」
貴久君の目が急に輝きだした。
私の肩をガシッと掴んで、揺さぶってくる。
「書斎に入った事ないから分からないよ。
あと、パソコンはどちらかというと苦手で…」
「分かった!
それならそれでいい!
だから頼むよ。」
貴久君はこう言った。
家に入れてほしい、と。


