強引年下ピアニストと恋するカクテル。
どうやらこの手の話は禁句らしい。

「みいちゃんは明日も早いよね。お酒どうする?」
「一杯だけ、私もソーダと割って軽い奴で」
「了解」

颯太くんが何か指示をすると、バーデンダーさんはすぐに混ぜてくれて私には目が覚めるような黄色のカクテルを作ってくれた。
即興で本人の見た目に合わせたカクテルを作ってくれるなんて、なんて素敵なBARなんだろう。
というか、凄くさっきからイケメンばかりしかいない。

静かなクラシックが流れる中、お店に入ってきた人は三周年記念のお祝いを颯太くんに告げた後、怜也を見て握手を求める。

その横で姉が一緒にお辞儀したり挨拶したり。

そんな中、一般人の私が一番浮いていることに気付いた。

今日は颯太くんのお客が多いから、きっと怜也はネコを被ったままだろうし。

「私、そろそろ帰るね」

グラスを空にしたあと、鞄を持って立ち上がる。

< 24 / 69 >

この作品をシェア

pagetop