強引同期に愛されまして。
*
思い返せば私は恋愛が上手じゃない。
初恋は実らなかったし、大学の時の初彼とは距離の取り方を間違えてウザがられて別れた。
執着しすぎてもいけない。そう意識するようになってからは、むしろそっけなさ過ぎて呆れられるほどで。
やがて仕事に夢中になるにつれ、プライド的に“彼氏”は欲しいけど、実際面倒と思うことも多かった。
梶くんにプロポ―ズされたときもそう。
私は正直、これからやってくる変化を面倒に思っていた。遠距離恋愛も結婚も、どちらも私の望むところではなかったのだ。
だから、あのタイミングで彼に転勤の話が来たのは運命だったんだろうとは思う。
ほかに不満は何もなかったから、たぶんずっと近くにいたなら、なあなあでも付き合い続けていっただろう。そうしたら今のような未来は確実に訪れない。
だとしたら、こっちも運命なんだろうか。
どう考えても付き合うなんて思えなかった田中くんと、今、恋人になるなんて。
私は自分のアパートで、使っていないキーホルダーを探しながら、そんなことを考えていた。
あの後、とりあえず帰ろうと周りを見渡して、廊下から見える景色の予想以上の高さに驚いた。
エレベーターに乗って気づいたけれど、その建物は十階建てで、彼の部屋は五階。一階は広く取られたエントランスがあって、誰が管理しているのかわからないけれど、大ぶりの花が飾られていた。
思い返せば私は恋愛が上手じゃない。
初恋は実らなかったし、大学の時の初彼とは距離の取り方を間違えてウザがられて別れた。
執着しすぎてもいけない。そう意識するようになってからは、むしろそっけなさ過ぎて呆れられるほどで。
やがて仕事に夢中になるにつれ、プライド的に“彼氏”は欲しいけど、実際面倒と思うことも多かった。
梶くんにプロポ―ズされたときもそう。
私は正直、これからやってくる変化を面倒に思っていた。遠距離恋愛も結婚も、どちらも私の望むところではなかったのだ。
だから、あのタイミングで彼に転勤の話が来たのは運命だったんだろうとは思う。
ほかに不満は何もなかったから、たぶんずっと近くにいたなら、なあなあでも付き合い続けていっただろう。そうしたら今のような未来は確実に訪れない。
だとしたら、こっちも運命なんだろうか。
どう考えても付き合うなんて思えなかった田中くんと、今、恋人になるなんて。
私は自分のアパートで、使っていないキーホルダーを探しながら、そんなことを考えていた。
あの後、とりあえず帰ろうと周りを見渡して、廊下から見える景色の予想以上の高さに驚いた。
エレベーターに乗って気づいたけれど、その建物は十階建てで、彼の部屋は五階。一階は広く取られたエントランスがあって、誰が管理しているのかわからないけれど、大ぶりの花が飾られていた。