強引同期に愛されまして。

「失礼しま……」

「あ」


中には六人ほどが資料を広げて座れるくらいの机といすがあるのだけど、中にいたのは田中くんひとり。思い切り目が合ってしまって、勢いで扉を閉めてしまった。

び、びっくりした。
いや、探していたんだけど。いざ予想してないところで会ったらビビってしまった。

てか、いきなり閉めるとか、私、感じ悪くない?

どうしよう、でもせっかく会えたし。
うん、勇気出してちゃんと話さなきゃ。


「なにやってるんですか、三浦さん」

「きゃああっ」


顔を上げて気合を入れた瞬間に後ろから声を掛けられて、飛び上がるほど驚いた。


「は、初音……」


そこにいたのは、両手に紙コップを持っていた初音だ。


「早く入ってください。……なんか、三浦さんも挙動不審ですね。ふたり、何かあったんですか」

「なにかって、別に」

「まあいいです。いいから開けてください」


時間が惜しいとばかりに初音が言い、私は仕方なく扉を開ける。

しかし中からは、田中くんが消えていた。いやそれは嘘だ。正確には、ノートパソコンのディスプレイに顔を突き付けて隠れていた。


「た、田中くん? ごめん、さっき」

「い、いや」


顔を上げないまま答えられ、私もそれ以上近づけなくて立ちすくむ。初音は気にせずに、つかつかと入っていった。

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