強引同期に愛されまして。
「ふざけんなよ。俺はお前が葉菜と付き合ってる時から、ずっと見てたんだぞ! ようやく捕まえたのに、昔の男が手ぇ出してくんじゃねぇよ!」
耳を疑う、その一言。
う、嘘だ。
私たちの付き合いは、酔っぱらってからの一夜が原因の、ついこの間始まったものじゃないの?
そりゃ多少の好意は持っててくれたんだろうなって思ったけど。そんな昔からだなんて思わない。だって、梶くんと付き合ってた時なんていったら、もう四年くらい前の話よ?
目をパチパチさせている私を腕に抱いたまま、田中くんは梶くんに挑むように前のめりになって叫ぶ。
「ずっと高嶺の花だと思っていた女が、棚ぼた的に転がり込んできたんだ。このチャンスを逃すとかねぇだろ」
「ずっと……?」
「俺は、お前なんかよりずっとこいつのこと見てたんだからなっ」
顔を真っ赤にした田中くんは、息を荒げてそういうと、呆けて見つめている私の頭を自分の胸に押し付けた。
「見んな!」
そんなこと言っても、見ちゃうでしょ。今言っていることが本当なのか、確かめたいって思うじゃない。
「梶さん、もう気が済んだでしょう? 帰りましょう。田中、ここは俺に任せろ」
どうやら永屋くんが止めに入ってくれたらしい。それも、田中くんに頭を押さえつけられているから、私には見えないんだけど。