強引同期に愛されまして。

「なによ、どういう意味?」


重ねて聞くと、田中くんは永屋くんと山海くんに目配せをした。
なぜか三人とも気まずそうに眼をそらすから、余計気になって睨んでやった。

「あー」と、ついに諦めたように話し出すのは、人のいい山海くんだ。


「いや、俺が美波を口説いてた頃、システムの子達と結構飲みに行ってたんだけどさ。三浦は彼女たちの上司になるわけじゃん。結構話題にのぼるんだよ」


あ、ちょっと読めてきたな。
後輩女子社員が私に対してどう思っているかなんて、一緒にいればなんとなくは伝わってくるものだ。


山海くんは私を刺激しないようにか、笑顔を絶やさずに続ける。


「もちろん、いい話もあるんだぜ? 仕事出来るとか面倒見いいとか。ただ、飲んでりゃ愚痴っぽくなるからさ。最後はかならず、キツイとか求めるものが高すぎるとかお高くとまってるとか、批判的な意見になっていくわけ」


やっぱりな。
一体誰よ、そんなことを言うやつは、後でしごいてやるわよ。


「でも、和賀さんは唯一お前のことすごいって言い続けてたから、気に入ってる。あの子はいい子だ」


しれっと田中くんがそう言ったので、私の苛立ちは一瞬でどこかへ行ってしまい、どう反応していいのか分からなくなった。


「そ、……そう」


照れるべきなのか笑うべきなのか怒るべきなのか。
分からないから後ずさり。

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