強引同期に愛されまして。

「じゃあ俺らは一緒にとろうぜ」


同じことを思ったのか、田中くんがそう言い、山海くんが目を丸くする。


「え? 俺らって?」

「俺と三浦」


さらっと答えた田中くんを見て、山海くんが軽いパニックを起こす。訳知り顔で頷く永屋くんの顔を見て、「まじかー」と本気で驚かれた。


「田中と? 三浦が? マジねぇなって思ってた組み合わせだわ、俺」

「あーまあね」


そういう人と、意外とお似合いっていう人と二極化してるよ。
まあ他人にどう思われてもかまわないんだけどね。


「そういうことだから、お前らちょっかい出すなよ」


これ見よがしに田中くんに肩を抱かれたので、その手をつねってやる。
会社でなれなれしくするのは、どうかと思うわ。

そんな私たちを見て、呆れたように腕組みをするのは永屋くん。


「はいはい。でもそれ、田中には言われたくないから。お前、よく香澄に話しかけに言ってんじゃん。担当営業でもないのにちょっかい出すなよな」


そうよね。私もそう思う。
田中くんって和賀さんと妙に仲いいわよ。

一緒になって田中くんをにらんでやったら、居心地の悪そうに視線をそらされた。


「別にちょっかい出してるわけじゃねーし。他の女子社員が逃げていくだけで、俺は皆にあのくらい話しかけてるぜ? 和賀さんが気に入ってるのは認めるけど。彼女、絶対三浦のこと悪く言わないし」

「へ?」


さらっと言ってしまったらしい田中くんは、「やべ」と口元を押さえる。

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