毒舌王子に囚われました
「あの、まだ、ですか……?」
「黙って待ってろ」
突然ですが、今、わたしの目の前は
……真っ暗です。
というのも、5分くらい前に『このまま、しばく待て』なんていって目隠しされてしまったから。
アイマスクで。
ちなみにこのアイマスクは、先日、デザインが気に入ったという単純な理由で買ってきたら『お前は本当にバカだな』と呆れて没収されたものだ。
だって、本当に可愛かったんだもん。なかなか使わないけど手元に置きたくなるものってないかな。わたしだけ……なのかな?
てっきり捨てられたと思っていた。まさか、こんな風に利用されるとは思ってもみなかった。
もちろん、外そうと思えば今すぐに外せる。両手両足は自由なわけで。
でも、秋瀬さんに『待て』といわれれば、わたしは待つしかないのだ。
座らされているのは、秋瀬さんの家――もとい、わたしの家のリビングのカーペットの上。
「お前、ほんと俺のいうこと……なんでも聞くよな」
言い終わったあと、ふっと鼻で笑われたような。……気のせいでしょうか。
「これからなにされるか、わかってんの?」
「な、なにされるかって……」
ごくりとつばを呑み込む。
と、シャッとカーテンのしまる音が聞こえてきた。
……なぜ?