毒舌王子に囚われました


「あの、まだ、ですか……?」

「黙って待ってろ」


突然ですが、今、わたしの目の前は

……真っ暗です。


というのも、5分くらい前に『このまま、しばく待て』なんていって目隠しされてしまったから。

アイマスクで。

ちなみにこのアイマスクは、先日、デザインが気に入ったという単純な理由で買ってきたら『お前は本当にバカだな』と呆れて没収されたものだ。

だって、本当に可愛かったんだもん。なかなか使わないけど手元に置きたくなるものってないかな。わたしだけ……なのかな?

てっきり捨てられたと思っていた。まさか、こんな風に利用されるとは思ってもみなかった。

もちろん、外そうと思えば今すぐに外せる。両手両足は自由なわけで。

でも、秋瀬さんに『待て』といわれれば、わたしは待つしかないのだ。

座らされているのは、秋瀬さんの家――もとい、わたしの家のリビングのカーペットの上。


「お前、ほんと俺のいうこと……なんでも聞くよな」

言い終わったあと、ふっと鼻で笑われたような。……気のせいでしょうか。

「これからなにされるか、わかってんの?」

「な、なにされるかって……」

ごくりとつばを呑み込む。

と、シャッとカーテンのしまる音が聞こえてきた。

……なぜ?

< 102 / 128 >

この作品をシェア

pagetop