毒舌王子に囚われました
カーテンまでゆっくり歩いていき、ほんの少し開けて部屋の明かりを確保する。
そうだ、今のうちに下着を返してもらおう。
悪いけど、勝手に探させてもらいますよ……?
それから、まず向かったのは、わたしが目覚めた部屋。
……つまり、寝室だ。
扉を開けて中に入ると、つい数時間前に目覚めたベッドがあった。
今度は眼鏡をかけているので、部屋の隅々まで見える。
薄手の毛布を手に取ったわたしは、一旦リビングのソファで眠る秋瀬さんの元へ行くと、それを秋瀬さんにかけた。
……綺麗な寝顔。
この顔だけ見ていたら、『眼球腐ってるんじゃねぇの』なんてとても言いそうにないのに。
寝室に戻ると、あるものに気がつく。
「……あれ?」
それに近づき、まじまじと見る。
「これ、わたしのスーツ」
意識を失う前に着ていた物が、ハンガーにかけてあるではないか。
スーツ一式。カッターシャツだってある。
なんで? どうして?
汚れて捨てられたんじゃないの……?
もしかして……え、洗ってくれたの?
あの秋瀬さんが、汚物のついたスーツを!?
【捨てた】
そう……言ったくせに。
なんで嘘なんてつくかな。
ちゃんと、洗って乾かしてくれていたんじゃないですか。