毒舌王子に囚われました
「だって……わたし、秋瀬さんが好きだから」
やっとのことで口から出した言葉を、
「知ってる」とあっさり受け取る。
「悪いけど、俺、お前と恋人になる気ないよ」
「それでも、わたし……秋瀬さんのそばにいたいです」
すると、秋瀬さんはタブレットを置いて――わたしを両手で抱きしめ返してきた。
「俺の中身知っても、まだ一緒にいたいんだ?」
「どんな秋瀬さんを知っても、多分、嫌いになれないです……もう」
「物好きなやつ」
……それだけ秋瀬さんに惹かれてるんです。自分でも、信じられないくらいに。
「まぁ、嫌いって言われても離す気ないけど」
――え?
秋瀬さんの顔が、正面にくる。
「たとえ泣きわめこうが、ここから帰してやる気なんて、さらさらない」
「なに、言ってるんですか……」
「俺が、なんのためにお前を持って帰ってきたかわかるか?」
持って帰ってきたって、ハンバーガーやお寿司をテイクアウトしたみたいに言わないで下さい。
「……助けてくれたんですよね?」
酔ってるところを介抱してくれた。
「たしかに、俺はお前を〝助けた〟が、お前のためじゃない」
「なに言ってるんですか。わたしは、秋瀬さんに、十分お世話になってるし……救われてますよ」
「いつまで、そんな自分の都合のいいように解釈してられるんだろうな?」