毒舌王子に囚われました
つまり、『1日過ごせ』といわれたのに、2日間もみっちり一緒に過ごしてしまった。
そして帰りは車で家の前まで送ってもらった。
だから、今現在は秋瀬さんがうちの場所を把握しているものの、それまでは知るはずがないのだ。
どうして秋瀬さんは、飯野先輩に〝同じ方面〟なんてデタラメをいってわたしの介抱を引き受けたのかな。
たまたま、街中でわたしと遭遇したにすぎない、秋瀬さんが。
濃密すぎる、2日間。
そのほとんどを、ソファやベッドで過ごしまったなんて、誰にもいえない。
どうしてわたしが、社内一モテるといっても過言ではない秋瀬さんとこんなことになったのか、今でもよくわからない。
最初こそ冷たく意地悪だった秋瀬さんだけれど、次第にビックリするほど甘くなった。
腕枕だってしてくれたし、何度も優しくキスしてくれて……。
下の名前で呼んでくれて、頭だって撫でてくれた。
ただ、問題があるとすれば、わたし達は恋人ではないということ。
なのに、肌を重ねてしまった。
それも、一度や二度じゃない。
おかげでわたし、一晩明けてこうして出勤してきてからも、頭の中が秋瀬さん一色だ。