毒舌王子に囚われました






「お疲れ」

定時にタイムカードをきるわたしに声をかけてきたのは、牧田部長だった。

爽やかスマイルを向けてくれているが、なんだか疲れた顔をしているようにも見える。

「お疲れ様です。……大丈夫ですか?」

「なにが?」

「いや、顔色が悪いように見えたので」

「……バレた?」苦笑いする牧田部長。

気のせいじゃなかった。

「実は、猫の手も借りたいくらい忙しくて」

そういえば、新商品のボールペンが売れ行き好調なんだよね。デザインが可愛くてさらさらっと書けるやつ。

カラーが豊富なわけでも、そんなに安いわけでもないのだけれど、それが逆にOLさんや大学生に受けているそうだ。

自分用に持つのもお洒落だし、プレゼント用にも人気があるみたい。

「忙しいのはいいことなんだけど、身体がついていかなくて。俺も、もう年かな」

「わたしに手伝えることあったら、なんでもいって下さいね」

「ホントに?」

「いつも皆さんより先にあがるの、心苦しいんです」

事務員がでしゃばったところで、できることはないかもしれないけれど。

それでも力になれるなら、なにか貢献したい。

「だったら、雑用頼んでもいい?」

「……! はい!」

「助かるよ。ありがとう」

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