毒舌王子に囚われました
*
「お疲れ」
定時にタイムカードをきるわたしに声をかけてきたのは、牧田部長だった。
爽やかスマイルを向けてくれているが、なんだか疲れた顔をしているようにも見える。
「お疲れ様です。……大丈夫ですか?」
「なにが?」
「いや、顔色が悪いように見えたので」
「……バレた?」苦笑いする牧田部長。
気のせいじゃなかった。
「実は、猫の手も借りたいくらい忙しくて」
そういえば、新商品のボールペンが売れ行き好調なんだよね。デザインが可愛くてさらさらっと書けるやつ。
カラーが豊富なわけでも、そんなに安いわけでもないのだけれど、それが逆にOLさんや大学生に受けているそうだ。
自分用に持つのもお洒落だし、プレゼント用にも人気があるみたい。
「忙しいのはいいことなんだけど、身体がついていかなくて。俺も、もう年かな」
「わたしに手伝えることあったら、なんでもいって下さいね」
「ホントに?」
「いつも皆さんより先にあがるの、心苦しいんです」
事務員がでしゃばったところで、できることはないかもしれないけれど。
それでも力になれるなら、なにか貢献したい。
「だったら、雑用頼んでもいい?」
「……! はい!」
「助かるよ。ありがとう」