毒舌王子に囚われました


助かるなんて言われたら、張り切るしかない。

部長に「こっち」と誘導され、どこかへ向かう途中、曲がり角の手前で声が聞こえてきた。

「……しつこいぞ」

――秋瀬さんの声だ。

思わず足が止まる。顔を見なくても、声でわかる。

しつこいって…まさか、告白でもされているとか?

だとしたら、そんな現場に居合わせるのは気まずいわけだけれど。

「土生?」
つられて立ち止まった牧田部長が、わたしを不思議そうに見る。

「な、なんでもないです。いきましょ……」

「俺、本気出しますから」

今のは、佐久間くんの声だ。

「……好きにしろ」

「愛してるから、助けたんじゃないんですか?」

「そんなわけあるか。あいつは、ただのペットだ」


待って。

今、ペットっていった?

もしかして……

わたしの話をしているの?

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