毒舌王子に囚われました


「お前らが言い争うなんて珍しいな」
牧田部長が先に歩いて行って、秋瀬さんと佐久間くんに声をかける。

わたしは、そんな部長を追いかけた。

「……! 土生」
目を見開いた佐久間くんの様子から、さっきの話は、やっぱりわたしの話なのだと伝わってくる。

――ただのペットだ

……わかっていた。

秋瀬さんの言葉に、行為に、愛はない。

それでもいいと割り切って、抱かれた。

そのはずなのに――胸が、苦しい。

それだけわたしは秋瀬さんのことが好きでどうしようもないのだと、思い知る。


「佐久間くん、わたし残業するから、ちょっと遅くなるかも」

「なら俺、待ってるよ」

「ううん、また今度にしよ」

「……わかった」

「ごめん。じゃあね」

秋瀬さんの顔が、見れない。

今、あなたは、またわたしを睨んでいますか。

それとも、わたしになんてもう、興味ないですか。


逃げるように、わたしは、牧田部長とその場を去った。

はやく行かなきゃ、泣きそうになったから――。

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