毒舌王子に囚われました


「よかったの?」

会議室について、沈黙を破ったのは牧田部長だった。

「な、なにがですか」

「佐久間とのデート断って」

「へっ」

「このあと会う予定だったんだろ」

「いや……その、デートっていうか、ご飯でも食べて帰ろうかって話してたんですけど。なんか、外食って気分でもなくなっちゃったので」

秋瀬さんは、本当にずるい。わたしの気分を、たったひとことで、いとも簡単に変えてしまうから。

秋瀬さんに冷たくされたダメージ、相当大きいみたい。

食欲、出そうにない……。

「それは残念」

「?」

残念って、どういうことだろう。

「佐久間と行かないなら、俺が誘おうかと思ったんだけど」

「ま、牧田部長が?」

わたしをご飯にですか!?

「まぁ、こんなオッサン嫌か」

「ぜ、全然です! 牧田部長のことは尊敬してますし……っていうかオッサンじゃないですから」

「稚沙都ちゃんと年近い子供いるんだよ、俺」

そんな風に見えないんだもんなぁ。

おそるべし、牧田部長。

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