毒舌王子に囚われました
秋瀬さん……
そんな怖いこといっても、そんな顔をしていたら……
優しく見つめられたら、全然説得力がないですよ……?
もしかして、秋瀬さんも安心してくれているのかな。わたしが、部長とあやまちを犯さないで。
「帰れ」
「え?」
「佐久間との約束、キャンセルしたんだろ」
「あ……はい、しました」
「だったら、さっさと帰れ」
「……はい」
言われなくても、わかっていますよ。
このまま、秋瀬さんといたいと思っているの……わたしだけなんですよね。
「助けてくれて、ありがとうございました」
秋瀬さんに背を向けた、そのとき。
「忘れものだ」と――上着のポケットになにかを入れられる。
「……?」
なんだろう。
立ち止まり、左手をポケットに突っ込んでみる。
「これ……何ですか?」
「お前、やっぱり眼球腐ってるのか」
「……だっ……て」
なんのつもりですか?
振り返ると、
「どう見ても鍵だろうが」と睨んでくる秋瀬さん。
その通りです。
手に持っているのは、どう見ても鍵です。
ですが、秋瀬さん。これ、なんの鍵ですか?
「先に帰って待ってろ」
「先に……」
「お前がいつまでも残ってたら、仕事に集中できねぇだろ」
「え……」
ひょっとして、これは……渡された鍵は、秋瀬さんのマンションの鍵ですか!?