冷徹ドクター 秘密の独占愛


青果コーナーを抜けて精肉コーナーへと向かって歩き出した時、後方から私たちを呼ぶ声が聞こえた。

呼び止められて、ビクッと足が止まる。

私たちを知っている人に声を掛けられるなんて、まずくない?

瞬間、そう思うと固まってしまう。

隣にいる律己先生が振り返るのが横目に映った。


「こんばんは」

軽く頭を下げた律己先生の様子を目に、ゆっくりと振り返る。

そこにいたのは、私たちと同じく買い物カゴを手にした関さん。

律己先生が担当している患者さんで、以前に『衛生士さんも指名できる?』と、私を指名してくれた主婦の患者さんだ。


「やっぱり副院長先生と浅木さんじゃない!」


関さんはにこにこと満面の笑みを浮かべてこっちに近付いてくる。

やって来ると、律己先生が持つ買い物カゴをチラリと目にし、私たちの顔を交互に見る。

そして、ふふふっと意味深に笑った。

< 187 / 278 >

この作品をシェア

pagetop