冷徹ドクター 秘密の独占愛
青果コーナーを抜けて精肉コーナーへと向かって歩き出した時、後方から私たちを呼ぶ声が聞こえた。
呼び止められて、ビクッと足が止まる。
私たちを知っている人に声を掛けられるなんて、まずくない?
瞬間、そう思うと固まってしまう。
隣にいる律己先生が振り返るのが横目に映った。
「こんばんは」
軽く頭を下げた律己先生の様子を目に、ゆっくりと振り返る。
そこにいたのは、私たちと同じく買い物カゴを手にした関さん。
律己先生が担当している患者さんで、以前に『衛生士さんも指名できる?』と、私を指名してくれた主婦の患者さんだ。
「やっぱり副院長先生と浅木さんじゃない!」
関さんはにこにこと満面の笑みを浮かべてこっちに近付いてくる。
やって来ると、律己先生が持つ買い物カゴをチラリと目にし、私たちの顔を交互に見る。
そして、ふふふっと意味深に笑った。