彼女の恋愛偏差値
「……誰のことが好きって?」
小さく溜め息をついて「坂野」と呟くと、彼は大きく息を吐いて再び背を向けた。
「はあああぁ~!?」
私は驚きのあまり後ろにのけぞった。
だってこれが驚かずにいられようか!
武田くん。
もしかして、あなた、私の名前を言いました?
あれ?
私、“坂野”さんですか?
ですよね?
「はぁ~、じゃないしっ」
そう言いながら、武田くんは再び私と向かい合う。
「マジで?」
開いた口がふさがらないというのはこういうことなんだろうか。