彼女の恋愛偏差値


「やっぱ、元気のいいところかな。オレさ、すっごい人見知り激しいんだよね」

「そうなんだ」

もしかしたら、カンジ悪いのってそれも関係あったのかもな。


「うん。坂野はさ、覚えてないかもしれないし、お前にとってはみんなにしてたのかもしれないけど。サークルで初めて顔合わせた時、すっごい元気で“よろしくお願いします”ってオレに話しかけてくれたのがすっごい印象的で」

そんなことあったっけ?

「あー、覚えてないや」

「だろ。でさ、坂野ってすっごい気ぃ遣うだろ」

「そう?」

「例えば、みんながイヤなこととかも率先してやるし。それを、みんなが気を遣わないようにやるし」

「だって、どうせなら気持ちよくやりたいしね」

「そんなのって、でも、なかなかできないし。あと、飲み会の時も盛り上げるし、つまらなそうにしてるヤツを輪の中に引き込むのうまいし」

「そっかな」


「坂野は自分でよく男扱いされるって言ってたけど。オレは一度も坂野のこと、そんなふうに思ったことないし。すごい女らしいって思ってた」

「………」


泣きそうだった。
私のことを分かってくれてる人がいることに。

彼がこんなふうに思ってくれてるとは思わなかった。


なんだよ、武田。
すっげぇいいヤツじゃん。

ヤバすぎっ。


< 18 / 39 >

この作品をシェア

pagetop