彼女の恋愛偏差値


「じゃなきゃ、尾崎(オザキ)さんも来ないっしょー」

私の前に座ってる、似非酔っ払いの下戸・石田(イシダ)さんがニヤリ。

石田さん。1つ上のセンパイ。

ミスターサディスト。
その域はもうサタンって言ってもいいかも。


武田くんの近くに座っている三年女子の尾崎さん。

暖房がきいているからか、それともわざとなのか。
おそらく後者。

胸元の大きく開いたセーターをきて、周辺の男のコたちにアピっている。


そんな彼女、実はモモの元カノだったりする。


「石田さ~んっ。勘弁してくださいよぉ」

モモが心底イヤそうな顔をして言うと、さすがミスターサタン。
ヒャッヒャッヒャと心底嬉しそうに笑う。

モモは入学してすぐの新歓コンパで尾崎さんにお持ち帰られた。

尾崎さんが男好きなのはサークル内では有名だったみたいで。
モモはその毒牙にまんまとかかったんだけど、移り気の多い尾崎さんとはすぐ別れちゃった。

尾崎さんとのことはモモにとって黒歴史みたい。
だけど(だからか?)、そこはミスターサディスティック・石田がなにかにつけてふれる。

そりゃあもうネチネチと。


「絵里は?実家帰んのか?」 と石田さん。

「う~ん。元日くらいは帰ろうかなって思ってます。でも、すぐ戻ります。地元の友達もほとんどこっちに来てますしねー」

私の実家は餃子の街・宇都宮。

いつでも帰れる距離のためか、あまり帰ろうという感覚が湧かない。
周りの帰省組と少し感覚が違う気がする。



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