西城家の花
それじゃあますます大志と恋人同士に見られないどころか、更に歳の離れた兄妹に見られること不可避であった
リンゴ飴と金魚すくいが出来ないのは少し悲しいが、少しでも年相応の女性として見られて、大志と釣り合うようになりたいので、頑張って我慢しようと心掛けるようにする
「出来ましたよ、お嬢様。大変可愛らしいですわ」
美桜がかなり頭を動かしたおかげで時間が大分かかったが、なんとか髪を結い終わらせた結衣に声をかけられたので、鏡を見ると、いつもより少し高めに髪が結われており、とてもすっきりしている
丸みのある頬が丸出しで少し気になるが、やはり髪を下している時よりは幾分か大人びて見える…気がする
ちらりと時計を見ると、もうすぐ大志との約束の時間で、そろそろ屋敷を出ないと遅刻してしまう
結衣に準備を手伝ってくれたお礼を言って、浴衣の色とお揃いの巾着を手に部屋から出ようとすると、後ろからまた声をかけられる
「せいぜい羽目を外さぬようにな」
「楽しんできてねー。いってらっしゃーい」
未だに布団の中にいる健と手をひらひらと振る康に見送られた美桜は一瞬それらを無視したが、そろりと障子から顔を覗かせ、小さく『いってまいります』と挨拶すると、いーっと舌を出し、顔を引っ込ませた
「………なんだ、あれは」
「結局は兄さんの言ってることが正しかったからねー。美桜なりの反発心なんじゃない?」
「はぁ…。いくつになっても成長せぬな、あの愚妹は」
後ろで二人の兄たちが呆れ気味に話していることも気付かず、美桜は早足で運転手の村本を待たせている正門にまで向かった
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