全ては君が知っている
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あれから授業なんて全く頭に入って来なかった。
そして、いつもなら届いているはずのストーカーからのメールも全く届かなかった。
違和感を感じながらも、時間は過ぎ、あっという間に放課後になってしまった。
結愛はバイトがあるということで、すぐに帰っていってしまった。
ふと、視線を移すと城戸くんが私の方に向かって歩いているところだった。
「大分落ち着いた?」
心配そうな顔で私にそう尋ねる城戸くん。
私はコクリと頷いた。
「今日は送っていくよ。帰ろう?」
そう言われたが、私の体は動かない。
「古宮さん?」
「一人になるのが……怖いの……。」
私の言葉に驚く城戸くん。
「……今日は、城戸くんの家に帰りたい……。」
そう発言した自分に驚く。
城戸くんもポカンとした表情をしていた。
「あ、待って!!こ、これは違うの!何かボーッとしてたっていうか、本当ごめ──」
「──良いよ。」
「……へ?」
「良いよ。俺の家においで?」
城戸くんは優しく笑うと、手を差し出してくれた。
まるで吸い込まれるように私も手を差し出すと、そのまま手を繋いで私たちは歩き出した。
城戸くんの大きな手。温もり。
心が溶けていく気がした。