貴方が手をつないでくれるなら
お兄ちゃんにはああ言ったけど、お兄ちゃんの方こそ、本当は私の様子がお昼からずっと可笑しいって、気づいてるはず。だからその原因が何か気になってるんだ。
町田さんから連絡を受けて気は動転していたと思う。買うべき物を買わないで帰るなんて、有り得ないもの…。
…はぁ、今なら、本人とも連絡がついたし、それ程にはならなかったのだろうけど。
食欲も無いってうっかり言っちゃったし。はぁ。それに、言うより先にたこ焼きまで買って来てくれたりしてた。
それはきっと、遥さんが作った物を私が進んでは食べられないだろうと思ってもいただろうから。
やはりパンの用意までは、していなかったようだった。だから、それに備えてわざわざ買いに行ったっていうのに…。はぁ。
朝食用のパン、食べられちゃった。それはいいんだけど。
…はぁ。
「日向?随分溜め息が多いな、大丈夫か?」
前はこうしてたら直ぐ寝たのに。中々寝付かれないみたいだな。
「ごめん、うっとうしかったね」
「…いいや。…はぁ」
「あ。そう言うお兄ちゃんも溜め息」
「あ、ハハ。…一緒だな」
「…うん」
頭を胸に付けられた。お兄ちゃんの溜め息は何だか重い。
私達って、血は繋がってないのに、隠そうとして隠しきれないところが似てる。…フフ。
「…ん?どうした?」
「ごめん。何でもない」
言ってちょっと抱きしめた。
「…あ、何だよ、教えろよ」
身体を離して顔を覗き込んだ。
「教えませ~ん」
「こら、教えろ、でなきゃ、こうだぞ」
肋骨の辺りをくすぐられた。
「うわ、止めて止めて、くすぐったい、ストップストップー。…もう、止めて~」
「ハハハ、昔よくこうしてくすぐったよな」
「はぁ、…う、ん、はぁ。も゛う」
「で?止めてやったんだから教えろ…」
「何でもない。ただね、似てるなって思っただけ」
「何の事だ?」
「うん…私とお兄ちゃんがね、似てるって思ったの」
「何が」
「上手く隠しきれないところが」
「日向…」
「私の事、お昼から可笑しいと思ってるでしょ?」
…。
「解ってる。思ってるって」
「うん、…まぁな」
「これはね、ちょっと前にあった事から関係ある事だから」
「ちょっと前って、昼に並木道から慌てて帰った日の事か」
散々暴れて乱れていた布団を掛け直した。頭を撫でて抱いた。
「うん、そう」
「それで?その時の出来事ってのはなんだ」
「それは言わないと駄目?でも…、そうか。その事はもう解決したの。確かに許せないような事だったけど、理解できたから、それはよくなったの」
「はぁ、だったら、今日のはなんだ?」
「…あ、…それはね」