私のメモ
「はぁ、わかりません」
「先程の会話も違和感だらけで、聞くに耐えなかった。おかしな敬語を使うな! 指摘すべき点は嫌という程あるが、まず1つ『田中様でございますね』は誤りだ。『田中様ですね』もしくは『田中様でいらっしゃいますね』だ。何度言ったらわかるんだ。それに『フルネーム頂戴できますか?』とは何だ! 名前は頂戴できない。」
「す、すみません」
武田さんは段々ヒートアップしてきて、謙譲語がどうだの、二重敬語がどうだの、ファミコン言葉(曰く “ファミレスやコンビニで使われる、奇妙な敬語” のことらしい)がどうだのと、お説教が止まらない。
つい先日も同じことを言われた気がする。
私はそれを、ほとんど、理解できていない。聞き流している。
「……それから、クッション言葉を使えといっただろ。名前を伺うときは『失礼ですが』から始めるのが常識だ!」
「はぁ、そうでしたね」
「高畑が電話対応をしていると、こちらまでヒヤヒヤする」
「はい、そうですか、すみません」
じゃあ、私に電話を取らせるなよ
そう思いながら、ひたすら続くお説教に、「すみません」を繰り返していた。
武田さんは、ひとしきり怒鳴り散らしたあと、はっと思い出したようにレストランに内線をかけていた。
先程の『田中様』の、夕食の変更の件の連絡らしい。
「高畑、他に田中様について伝えておくことは無いか」
「特にないです」
あんだけ怒り狂っても、きっちり仕事をこなしてしまう武田さんは、やはり只者ではないと思う。
「先程の会話も違和感だらけで、聞くに耐えなかった。おかしな敬語を使うな! 指摘すべき点は嫌という程あるが、まず1つ『田中様でございますね』は誤りだ。『田中様ですね』もしくは『田中様でいらっしゃいますね』だ。何度言ったらわかるんだ。それに『フルネーム頂戴できますか?』とは何だ! 名前は頂戴できない。」
「す、すみません」
武田さんは段々ヒートアップしてきて、謙譲語がどうだの、二重敬語がどうだの、ファミコン言葉(曰く “ファミレスやコンビニで使われる、奇妙な敬語” のことらしい)がどうだのと、お説教が止まらない。
つい先日も同じことを言われた気がする。
私はそれを、ほとんど、理解できていない。聞き流している。
「……それから、クッション言葉を使えといっただろ。名前を伺うときは『失礼ですが』から始めるのが常識だ!」
「はぁ、そうでしたね」
「高畑が電話対応をしていると、こちらまでヒヤヒヤする」
「はい、そうですか、すみません」
じゃあ、私に電話を取らせるなよ
そう思いながら、ひたすら続くお説教に、「すみません」を繰り返していた。
武田さんは、ひとしきり怒鳴り散らしたあと、はっと思い出したようにレストランに内線をかけていた。
先程の『田中様』の、夕食の変更の件の連絡らしい。
「高畑、他に田中様について伝えておくことは無いか」
「特にないです」
あんだけ怒り狂っても、きっちり仕事をこなしてしまう武田さんは、やはり只者ではないと思う。