一之瀬さんちの家政婦君
「残念だけど違うんだな。この子は藤原 飛鳥君。最近知り合った俺の友だち」
櫂人は飛鳥の両肩に手を添えてその場にいる常連客に紹介した。
紹介をする時だけは名前の後に“君”付けしてくれる。
彼なりの優しい気遣いを感じる瞬間。
「はじめまして。藤原 飛鳥です」
飛鳥は自己紹介をしてお辞儀をする。
まわりからチラホラと「よろしく!」と声がする。
挨拶を済ませると、櫂人は飛鳥をカウンター席に案内した。
「飛鳥ちゃん、飲み物何がいい?今夜はお祝いだからお酒もあるよ」
「えっと、僕はオレンジジュースを……」
飛鳥は飲酒の誘いをやんわりと断って、ソフトドリンクを注文した。
飲めないわけではないのだけれど、酔った状態でマンションに戻りたくない気持ちがある。
家主である和真に悪い気がした。