一之瀬さんちの家政婦君

「櫂人がいつもお世話になっているようで……」

「いいえ、むしろ僕の方がお世話になりっぱなしで……」

「病院でいつも君の話をしていたよ。新しい友だちでとても良い子なんだって。今日会えてとても嬉しいよ」

マスターに握手を求められ、飛鳥はその細い手を両手でギュッと握り「僕も……」と答えた。

こんなにも心のこもった握手をしたのは本当に久しぶりで、飛鳥の声は少し震えていた。

その時、二人のそばにワイングラスを持った女性が一人近づいて来る。

飛鳥より少し年上のOL風オシャレ女子だ。

「飛鳥君って男の子なんだってね!こんなに華奢なのに……。やっぱり今どき男子だねぇ」

香水の良い匂いを漂わせながら肩や腕を触られると、同じ女性であってもなんだかドキドキしてしまう。
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