一之瀬さんちの家政婦君

「はいはい、お触り禁止!幼気(いたいけ)な大学生が怯えてるだろ」

櫂人が間に入り、飛鳥は場の空気を壊すことなくオシャレなOLから解放された。

心底ホッとする。

至近距離で体に触れられると、いかに飛鳥であっても女だとバレるかもしれない。

「“怯えてる”とか、櫂ちゃんてば超失礼……」

ふわふわとほろ酔い気味の彼女は、へなっと笑って手近な席に腰を下ろした。

「ごめんな。普段はめちゃ頼もしい姉ちゃんなんだけど」

櫂人は常連客へのフォローを欠かせなかった。

酔いが冷めて再びこの店にやってきた時、きっと彼女は櫂人の気遣いに感謝するだろう。

そうして、飛鳥は静かにこのお祝いムードを楽しんだ。
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