一之瀬さんちの家政婦君

「喜島さん、この方は――…」

飛鳥は和真の紹介をしようとしたが、言い終わる前に「一之瀬 和真だろ」と櫂人に先を越されてしまう。

「知ってるの?」

「結構、有名人だからね……彼。ちょっと検索すれば名前くらい出てくるよ」

「……そうだね」

飛鳥は櫂人の言う通りだと頷く。

初対面で変態扱い、泥棒扱いしてしまった自分が情けない。

「飛鳥君の家主さんだろ。この前、一緒に散歩してた時に電話を掛けてきた人」

買い物を手伝ってもらった日の出来事を、櫂人はとても楽しそうに話す。

「散歩じゃなくてただの休憩です。重たい荷物を持って帰るのを手伝って頂いていた過程の休息です!」

散歩などという表現は誤解を招きかねない。

飛鳥は自分が仕事をサボって寄り道していたなどと和真に思われたくなかった。
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